食育基本法の改定が2026年5月27日に公布・施行され、「大人の食育」が法律上明確に位置づけられました。これまで子ども中心だった食育は、生活習慣病予防や職場での健康づくりと直結する“社会全体のテーマ”へと広がっています。本記事では、大人の食育の定義、そして企業・管理栄養士・栄養士に求められる新しい役割をわかりやすく解説します。

1.大人の食育とは何か
1-1 大人の食育の法律上の定義
「食育基本法」令和8年5月に改正されました。食育推進会議において第5次食育推進基本計画が決定され、令和8年度からの5年間で特に取り組むべき重点事項として「健全な食生活の実現に向けた大人の食育の推進」が掲げられています。
今回の改正では、食育が子ども中心の取り組みから、若年層・働く世代・高齢者を含むあらゆる世代に展開すべき国民運動として再定義されました。背景には、働く世代の朝食欠食、簡便化志向、孤食の増加、栄養バランスの乱れなど、大人の食生活課題が深刻化していることがあります。
前文や第6条では、年齢を問わず家庭・学校・保育所・職場・地域などあらゆる場で体験活動を通じて食への理解を深め、健全な食生活につながる行動へ結びつける能力を育むことが強調され、大学や職場が新たに食育の場として明記された点も大きな特徴です。 これにより、企業や教育機関が成人の食生活改善に取り組む法的根拠が強化されました。
◆食育基本法(農林水産省)◆
今回の改正では、食育が子ども中心の取り組みから、若年層・働く世代・高齢者を含むあらゆる世代に展開すべき国民運動として再定義されました。背景には、働く世代の朝食欠食、簡便化志向、孤食の増加、栄養バランスの乱れなど、大人の食生活課題が深刻化していることがあります。
前文や第6条では、年齢を問わず家庭・学校・保育所・職場・地域などあらゆる場で体験活動を通じて食への理解を深め、健全な食生活につながる行動へ結びつける能力を育むことが強調され、大学や職場が新たに食育の場として明記された点も大きな特徴です。 これにより、企業や教育機関が成人の食生活改善に取り組む法的根拠が強化されました。
◆食育基本法(農林水産省)◆
1-2 子どもの食育との違い(行動中心の食育)
大人の食育は、子どもの食育とは目的とアプローチが大きく異なります。子どもの食育が「知識を学ぶ」ことを中心としてきたのに対し、大人は仕事・家事・育児など生活背景が複雑で、知識だけでは行動が変わりません。
改正後は、食育は理解を深めるだけでなく、行動変容につながる取り組みであることが明確に示されています。働く世代の朝食欠食や簡便化志向、孤食の増加など、成人の食生活課題は行動改善を必要とするものが多いのです。
そのため、大人の食育では「続けられる食行動を選べる力」を育てることが重要となります。例えば、朝食欠食者には“朝に食べられる選択肢を増やす”、夜遅い食事が続く人には“負担なく改善できる一手を選ぶ”など、生活に合わせた具体的な行動支援が求められます。
大人の食育は、知識よりも「実践」「継続」「生活背景への理解」が鍵となり、専門職による伴走支援が不可欠な領域として強化されています。
改正後は、食育は理解を深めるだけでなく、行動変容につながる取り組みであることが明確に示されています。働く世代の朝食欠食や簡便化志向、孤食の増加など、成人の食生活課題は行動改善を必要とするものが多いのです。
そのため、大人の食育では「続けられる食行動を選べる力」を育てることが重要となります。例えば、朝食欠食者には“朝に食べられる選択肢を増やす”、夜遅い食事が続く人には“負担なく改善できる一手を選ぶ”など、生活に合わせた具体的な行動支援が求められます。
大人の食育は、知識よりも「実践」「継続」「生活背景への理解」が鍵となり、専門職による伴走支援が不可欠な領域として強化されています。
2.7.6兆円の損失を防ぐ!職場での「大人の食育」の価値

2-1 働く人のメンタル不調と食生活が生む7.6兆円の損失
横浜市立大学の研究では、働く人が「気分が沈む」「眠れない」といったメンタル不調を抱えながら働くことで、日本全体で年間7.6兆円もの経済損失が生じていると試算されました。これはGDPの1.1%に相当し、精神疾患の医療費の7倍以上という極めて大きな影響です。こうしたメンタル不調は、単なる個人の問題ではなく、企業の生産性や社会全体の活力に直結する課題です。
ここで見落としてはならないのが、食生活との密接な関係です。朝食欠食や栄養バランスの乱れは、集中力低下、睡眠の質の悪化を招き、メンタル不調を助長します。特に20〜30代の働く世代は生活が不規則になりやすく、食事が後回しになりがち。食育基本法に「大学・職場」を食育の場として追加した背景には、こうした働く世代の心身の不調を、食生活の改善を通じて予防しようという社会的要請があります。
◆参考文献◆
Hara K., Nagata T., Matoba M., Miyazaki T. The Impact of Productivity Loss From Presenteeism and Absenteeism on Mental Health in Japan. Journal of Occupational and Environmental Medicine. DOI: 10.1097/JOM.0000000000003431
ここで見落としてはならないのが、食生活との密接な関係です。朝食欠食や栄養バランスの乱れは、集中力低下、睡眠の質の悪化を招き、メンタル不調を助長します。特に20〜30代の働く世代は生活が不規則になりやすく、食事が後回しになりがち。食育基本法に「大学・職場」を食育の場として追加した背景には、こうした働く世代の心身の不調を、食生活の改善を通じて予防しようという社会的要請があります。
◆参考文献◆
Hara K., Nagata T., Matoba M., Miyazaki T. The Impact of Productivity Loss From Presenteeism and Absenteeism on Mental Health in Japan. Journal of Occupational and Environmental Medicine. DOI: 10.1097/JOM.0000000000003431
2-2 職場での「大人の食育」が生産性向上の鍵になる
改正後の食育基本法(第20条の2)には、国や自治体が大学生や働く世代の食生活改善を支援し、企業の食育活動や事業者間の連携を進めることが明確に示されました。横浜市立大学の研究が示したように、メンタル不調によるプレゼンティーズム(出勤しているが本来の力を発揮できない状態)は、欠勤以上に企業の損失を大きくすることがわかっています。食生活の乱れはこのプレゼンティーズムの一因となるため、だからこそ、職場での「大人の食育」は、単なる健康啓発ではなく、組織のパフォーマンス改善に直結する投資であるとも言えるのではないでしょうか。
例えば、朝食の選択肢を増やす、昼食の栄養バランスを整える、夕食が遅くなる人への簡便な改善策を提示するなど、生活背景に合わせた行動支援が重要となります。官民連携が求められたのは、企業・大学・地域が協働して実践的な食育を進めるためであり、働く世代のメンタルヘルス改善と生産性向上を同時に実現するための基盤となるからです。
◆参考文献◆
例えば、朝食の選択肢を増やす、昼食の栄養バランスを整える、夕食が遅くなる人への簡便な改善策を提示するなど、生活背景に合わせた行動支援が重要となります。官民連携が求められたのは、企業・大学・地域が協働して実践的な食育を進めるためであり、働く世代のメンタルヘルス改善と生産性向上を同時に実現するための基盤となるからです。
◆参考文献◆
3.これからの時代に求められる管理栄養士と『大人の食育』

3-1 法改正で広がる管理栄養士のフィールド
食育基本法の改正は、管理栄養士にとって大きな追い風です。これまで食育は子ども中心の領域と捉えられがちでしたが、法改定により「大人の食育」が正式に位置づけられ、職場・地域・家庭など大人が生活するあらゆる場が食育の対象となりました。これにより、管理栄養士が活躍できる領域は一気に広がっています。
具体的には、企業の健康経営支援、行政の重症化予防事業、商工会議所の企業支援、地域の健康講座、若年層の生活習慣改善、オンライン食育プログラムなど、多様なフィールドで専門性が求められています。特に、「生活習慣病予防」「職場での食育」「行動変容につながる取組」は、管理栄養士が得意とする領域と完全に一致します。大人の食育は、管理栄養士が専門性を発揮しながら社会に貢献できる新しい市場として、確実に広がり続けています。
具体的には、企業の健康経営支援、行政の重症化予防事業、商工会議所の企業支援、地域の健康講座、若年層の生活習慣改善、オンライン食育プログラムなど、多様なフィールドで専門性が求められています。特に、「生活習慣病予防」「職場での食育」「行動変容につながる取組」は、管理栄養士が得意とする領域と完全に一致します。大人の食育は、管理栄養士が専門性を発揮しながら社会に貢献できる新しい市場として、確実に広がり続けています。
3-2 行動変容支援の専門職として求められる管理栄養士
今、食育にはイベント開催だけでなく、行動変容や健康指標の変化を「数値で見える化」し、効果を評価することが求められています。これに伴い、個人の生活に寄り添った行動支援と、その成果を可視化できる管理栄養士への期待が企業や行政で高まっています。
弊社では20年以上にわたり、「行動変容×見える化」を重視した食育・栄養指導の成果を科学的に評価してきました。中学生を対象とした食育研究では、自分の適量を知り自発的に食事を整えられた成果を論文で発表。さらに糖尿病・メタボ改善プログラムでも、継続的なサポートが血糖や腹囲の改善につながることを証明しています。これまで培ってきた知見や評価手法について、多くの企業や自治体様からご相談・ご依頼をいただいてきました。
「知る」だけで終わらせず、「実践し、続く」食育へ――。
時代はいま、まさに「行動変容×見える化」へと動き始めています。
“取り組んでみたい”と思った時こそが、まさに「はじめ時」。
私たちはこれからも、新たな一歩を踏み出したい皆様に、現場で培った確かなエビデンスと実践ノウハウをお届けしていきたいと思います。
※ 時代の要請に応える「行動変容×見える化」の具体的アプローチや、弊社が提供するプログラム・書籍の詳細は下記よりご覧いただけます。
◆“行動変容×見える化”を重視した生活習慣改善プログラムSILE(サイル)とは?
◆生活習慣改善プログラムSILE(サイル)と中学生を対象とした食育プログラムに関する書籍
弊社では20年以上にわたり、「行動変容×見える化」を重視した食育・栄養指導の成果を科学的に評価してきました。中学生を対象とした食育研究では、自分の適量を知り自発的に食事を整えられた成果を論文で発表。さらに糖尿病・メタボ改善プログラムでも、継続的なサポートが血糖や腹囲の改善につながることを証明しています。これまで培ってきた知見や評価手法について、多くの企業や自治体様からご相談・ご依頼をいただいてきました。
「知る」だけで終わらせず、「実践し、続く」食育へ――。
時代はいま、まさに「行動変容×見える化」へと動き始めています。
“取り組んでみたい”と思った時こそが、まさに「はじめ時」。
私たちはこれからも、新たな一歩を踏み出したい皆様に、現場で培った確かなエビデンスと実践ノウハウをお届けしていきたいと思います。
※ 時代の要請に応える「行動変容×見える化」の具体的アプローチや、弊社が提供するプログラム・書籍の詳細は下記よりご覧いただけます。
◆“行動変容×見える化”を重視した生活習慣改善プログラムSILE(サイル)とは?
◆生活習慣改善プログラムSILE(サイル)と中学生を対象とした食育プログラムに関する書籍
◇ライター情報◇
圍 華代子
大学卒業後、管理栄養士として一般企業に就職。家族の海外転職に伴い退職し、帰国後、開業管理栄養士として自立。現在、2社の特定保健指導事業と2つのクリニックにて外来栄養食事指導に従事している。
【資格】管理栄養士
圍 華代子
大学卒業後、管理栄養士として一般企業に就職。家族の海外転職に伴い退職し、帰国後、開業管理栄養士として自立。現在、2社の特定保健指導事業と2つのクリニックにて外来栄養食事指導に従事している。
【資格】管理栄養士