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【論文掲載】自分の栄養指導スキルを“見える化”!「スキルチェック表」の開発と検証

はじめに:「今日の栄養指導、これで良かったのかな…」と悩んでいませんか?

対面やオンラインで栄養指導を行ったあと、「本当に対象者さんの行動変容につながるかな…」「自分の指導スキルって上がっているのかな…」と一人でモヤモヤした経験はありませんか?
どれだけ経験を重ねても、自分の支援を客観的に振り返る機会は意外と少ないものですよね。

今回、私たちが行った予備的研究の成果が本年7月『日本公衆衛生雑誌』に掲載されました!テーマは「管理栄養士の栄養介入スキルを『見える化』し、自信を持って指導できるようにするためのツール開発とその検証」です。

この記事では、現場の管理栄養士の皆様にぜひ知っていただきたい研究のハイライトをわかりやすくご紹介します!

課題:栄養指導はなぜ「自信」が持ちにくいのか?

生活習慣病の発症や重症化予防において、管理栄養士による個別支援の役割と期待は年々高まっています。しかし現場では、以下のような声がよく聞かれます。

・指導の進め方が自己流になってしまいがち、これで本当にいいのか
・自分の指導でどれくらい成果が出ているのか実感しにくい
・後輩の指導支援をどう評価・育成すればいいかわからない

なぜ、一生懸命に向き合っているのに自信が持ちにくいのでしょうか。
それは、「これに沿って進めれば確かな効果につながる」という科学的根拠に基づいた指導手順(共通の軸)を、ご自身の指導と照らし合わせて確認する機会が、これまであまりなかったからかもしれません。科学的根拠に基づいた「栄養ケアプロセス」の実践が必要とわかっていても、日々忙しい現場の中で自身のスキルを客観的に振り返るのは簡単ではありませんね。

解決策:成長を実感できる『スキルチェック表』を開発!

そこで私達が開発したのが、自身の指導を客観的に振り返ることができる「スキルチェック表」です。

本ツールは、日本人を対象としたランダム化比較試験(RCT)で対象者の行動変容や臨床数値の改善効果が実証されている「SILE(サイル)プログラム」の指導手順に基づき作成されています。SILEプログラムは「栄養ケアプロセス」に行動科学の理論を組み込んだ手順になっており、日々の現場で「スキルチェック表」を用いて12週間(計7回)振り返ることで、ご自身の指導の強みや改善点を安心して客観的に確認することができます。この12週間の取り組みをくり返すことで、指導手順を段階的に習慣化できるよう設計しました。

また、「単なる自己満足のチェックシート」にならないよう、今回の研究では20名以上の管理栄養士にご協力いただき、専門家による客観的評価や統計解析(信頼性・妥当性の検証)を実施。ツールとしての評価のブレにくさ(信頼性)や、経験によるスキルの違いを反映できているか(妥当性)を念入りに検証しました。

➡『SILEプログラム』の詳細はこちらです

結果:12週間で「指導への悩み」が減少する傾向に!

『スキルチェック表』を活用して12週間のセルフチェックを行った予備的調査の結果、参加された管理栄養士の皆様にうれしい変化が見られました。

・「指導の効果が実感できない…」という悩みが 83.3% ➔ 45.8% へ減少!
・「栄養ケアプロセスに沿って指導できた」という人が 25.0% ➔ 58.3% へ増加!

客観的な統計解析においても、経験年数によるスキルの差を正しく反映できていることや、セルフチェックを重ねることで客観的評価スコアも高まる傾向が確認されました。栄養ケアプロセスの行程に基づき、このような評価ツールの信頼性・妥当性を検証した取り組みは、国内でも非常に先進的な試みと言えます。

メリット:スキルチェックで期待できる3つの良い変化

このツールによる振り返りを習慣化することで、次のようなメリットが期待できます。

・自分の「得意・不得意」が目に見える(感覚ではなく客観的な視点が持てる)
・12週間でブレない指導軸(栄養ケアプロセス)が身につきやすくなる
・「私の支援、ちゃんと届いている!」という確かな手応えと自信につながる

『スキルチェック表』の活用と今後の展望について

「具体的にどんなチェック項目があるの?」「検証データの詳細が気になる」と思ってくださった方は、ぜひ論文の全文・抄録をご覧いただけたら嬉しいです。

なお、この『スキルチェック表』は単なるチェックリストではなく、ベースとなる「栄養ケアプロセス」の考え方を正しく理解して初めて真価を発揮するツールです。

「栄養ケアプロセス」はすでに栄養管理の国際基準であり、日本栄養士会も現場での活用を強く推奨しています。しかし、表面的な手順だけが独り歩きしてしまうと、かえって「確認項目が多くて大変…」と感じられてしまう可能性があります。だからこそ、まずは「国際基準である栄養ケアプロセスを、日本の現場でどう活かすか」という土台をしっかり学ぶことが何より大切だと考えています。

そのため本ツールは、弊社が企画する『栄養相談のマスター基礎講座』(下段にリンクあり)を通じて、「栄養ケアプロセス」の内容や本質をご理解された方に順次、ご案内・配布していく予定です。

また今後は、このツールを活用した指導が「対象者様(患者様)の臨床的成果(血糖値や体重の変化など)にどう影響するか」についても無作為化比較試験(RCT)でさらに検証を進める予定です。そして、ゆくゆくは、SILEプログラムの手順やツールの活用法を一冊の書籍として皆様にお届けできるよう準備を重ねていきます!

現場で一人ひとりの対象者様(患者様)と向き合う管理栄養士の皆様が、今以上に自信を持ち、対象者様(患者様)も自分も納得できる支援ができるよう、これからも研究と実践の両面から応援する活動を続けて行きたいと思っています。

➡『スポーツ栄養Web』で論文を紹介していただきました

➡ 論文:『日本公衆衛生雑誌』第73号 No.7  

➡ 「栄養ケアプロセス」を学びたい方へ:『栄養相談のマスター基礎講座』

➡ エビデンスに基づく栄養指導方法『SILEプログラム』をまとめた書籍はこちらです

 

◇ライター情報◇
安達 美佐
30年以上にわたり、クリニックの外来栄養食事指導や在宅訪問栄養指導で栄養相談に従事。また、研究者としても活動し、現場の管理栄養士が自信を持って対象者の行動変容を引き出すための教育プログラムや栄養指導スキル向上のためのツールを開発、効果の検証も実施。国内外での論文/学会発表や各種研修会を通じて、「栄養ケアプロセス」と行動科学理論に基づいた実践的指導法の普及に取り組んでいる。

【資格・学位】管理栄養士、Doctor of Public Health (Dr.PH)、公衆衛生専門家(日本公衆衛生学会認定)、神奈川糖尿病療養指導士
【所属】 栄養サポートネットワーク合同会社 代表社員