
日本でも導入が進む「栄養ケアプロセス(NCP)」。しかし、「PES報告の書き方がよくわからず、文章が長くなってしまう」と悩む管理栄養士の方は少なくありません。そこで今回は、すでに実務でNCPを当たり前に使いこなしている、米国登録管理栄養士(RD)のMiyoshi Watanabe Pokrandt(美好)さんよりレクチャー&コンサルを受けました。多忙な医療現場で他職種に一目で伝わる、実践的な「PES報告の書き方」のヒントを詳しく伺いました。
1. 栄養ケアプロセスの核となる「PES報告」とは?
1-1. 国際基準の栄養管理とPES報告の要素
栄養管理の手順や用いる用語・概念の国際的な統一を目指して、アメリカ栄養士会が提案した手法が「栄養ケアプロセス(NCP)」です。NCPは①栄養アセスメント、②栄養診断、③栄養介入、④栄養モニタリングと評価、の4段階で構成されており、その中の「栄養診断」の結果を明確に言語化するためのフレームワークが「PES報告」です。
PESとは、対象者に起きている栄養問題を、
• P (問題:Problem)
• E (原因:Etiology)
• S (兆候・症状:Signs and Symptoms)
の3つの頭文字を取ったもので、この要素を明確に整理して記述する書き方のことを指します。
PESとは、対象者に起きている栄養問題を、
• P (問題:Problem)
• E (原因:Etiology)
• S (兆候・症状:Signs and Symptoms)
の3つの頭文字を取ったもので、この要素を明確に整理して記述する書き方のことを指します。
1-2. 他職種連携でPES報告が果たす役割
PES報告を使う最大のメリットは、自分以外の他者(管理栄養士の同僚や、医師、看護師、ケアマネジャーなどの他職種)にも、対象者の栄養問題を正確に、そして素早く理解してもらいやすくなる点にあります。共通の概念とフォーマットを用いて記録を残すことは、チーム医療の中で管理栄養士としての専門性を発揮し、信頼を築くために非常に重要です。
弊社が提供する生活習慣改善プログラム『SILE』も、このNCPに基づいた手順で構成されており、プログラムを使用した栄養介入の効果を科学的に実証することができました(2013, Adachi)。現在は病院や診療所の栄養食事指導、特定保健指導事業で広く活用されています。
弊社が提供する生活習慣改善プログラム『SILE』も、このNCPに基づいた手順で構成されており、プログラムを使用した栄養介入の効果を科学的に実証することができました(2013, Adachi)。現在は病院や診療所の栄養食事指導、特定保健指導事業で広く活用されています。
2. 実務を効率化する!伝わる「PES報告」の書き方
2-1. 日本での一般的な書き方とよくある悩み
現在、日本では「Sの根拠に基づき、Eが原因となった、Pの栄養状態である」というように、結論を最後に書く1文での書き方が一般的に推奨されています。
しかし、実際にこの通りに書いてみると、結論に行き着くまでに文字がたくさんになってしまい、文章が長くなってしまうのが大きな悩みどころです。多忙な医師や看護師に、患者さんの栄養問題がすぐに伝わるよう記録を残すことは管理栄養士の重要な役割ですが、「カルテや報告書をパッと見て直感的に伝わらない」という課題を、日本の多くの現場が抱えています。
しかし、実際にこの通りに書いてみると、結論に行き着くまでに文字がたくさんになってしまい、文章が長くなってしまうのが大きな悩みどころです。多忙な医師や看護師に、患者さんの栄養問題がすぐに伝わるよう記録を残すことは管理栄養士の重要な役割ですが、「カルテや報告書をパッと見て直感的に伝わらない」という課題を、日本の多くの現場が抱えています。
2-2.アメリカの現場に学ぶ「3行箇条書き」の具体例

日本でも本格的に「栄養ケアプロセス」を用いる機運が高まったことから、より日本の実情にあう「栄養ケアプロセス」を検討していきたいと思い、すでに実務で当たり前に「栄養ケアプロセス」を使っているアメリカの管理栄養士のMiyoshi Watanabe Pokrandt 氏(以下、美好さん)から定期的にレクチャー&コンサルを受けていくことにしました。
美好さんは、日本で管理栄養士の資格を得て、アメリカでRD(登録管理栄養士)の資格を取得し、ウイスコンシン州の総合病院で管理栄養士として働き5年目を迎えます。アメリカは栄養管理の業務委託がずいぶん前から進んでおり、美好さんは管理栄養士のマネジメント会社に所属し、病院の外来栄養指導を主に、時に院内の栄養管理も行う管理栄養士です。
記念すべき第1回目となった今回は、アメリカ栄養士会関係の資料で見つけた、PESを3行に羅列して書く報告書のフォーマットについて尋ねてみました。すると、なんと美好さんも実際にこの「3行箇条書き」の書き方を使用されていました!
例えば、夕食後にアイスクリームを食べる習慣が続き、中性脂肪値も150mg/dL、BMIも27 kg/m²となっている方では、美好さんは以下のように書くとのこと。
【書き方の具体例1】
• P (問題): 食生活関係の血液検査異常
• E (原因): エネルギー/糖分/脂肪摂取過剰
• S (兆候): 中性脂肪150mg/dL、アイスクリームを食後に食べる習慣
あるいは、
【書き方の具体例2】
• P (問題): 肥満
• E (原因): エネルギー摂取過剰
• S (兆候): エネルギー必要量1,500kcalに対して摂取量1,900kcal(そのうち200-300kcalはアイスクリームなどのデザートによる)、BMI27
長い文章にまとめ直さなくても、これだけで「何が原因でどこが課題か」が直感的に伝わります。
文章で書く管理栄養士もいるとのことですが、この箇条書きスタイルでもしっかりと意図が伝わるのだと、大きな確信が得られました。
美好さんは、日本で管理栄養士の資格を得て、アメリカでRD(登録管理栄養士)の資格を取得し、ウイスコンシン州の総合病院で管理栄養士として働き5年目を迎えます。アメリカは栄養管理の業務委託がずいぶん前から進んでおり、美好さんは管理栄養士のマネジメント会社に所属し、病院の外来栄養指導を主に、時に院内の栄養管理も行う管理栄養士です。
記念すべき第1回目となった今回は、アメリカ栄養士会関係の資料で見つけた、PESを3行に羅列して書く報告書のフォーマットについて尋ねてみました。すると、なんと美好さんも実際にこの「3行箇条書き」の書き方を使用されていました!
例えば、夕食後にアイスクリームを食べる習慣が続き、中性脂肪値も150mg/dL、BMIも27 kg/m²となっている方では、美好さんは以下のように書くとのこと。
【書き方の具体例1】
• P (問題): 食生活関係の血液検査異常
• E (原因): エネルギー/糖分/脂肪摂取過剰
• S (兆候): 中性脂肪150mg/dL、アイスクリームを食後に食べる習慣
あるいは、
【書き方の具体例2】
• P (問題): 肥満
• E (原因): エネルギー摂取過剰
• S (兆候): エネルギー必要量1,500kcalに対して摂取量1,900kcal(そのうち200-300kcalはアイスクリームなどのデザートによる)、BMI27
長い文章にまとめ直さなくても、これだけで「何が原因でどこが課題か」が直感的に伝わります。
文章で書く管理栄養士もいるとのことですが、この箇条書きスタイルでもしっかりと意図が伝わるのだと、大きな確信が得られました。
3. アメリカの医療現場におけるPES報告の重要性と今後の展望

3-1. 適切なPES報告が書けないと保険診療が減算に?
美好さんのお話の中で非常に興味深かったのが、アメリカにおける外来栄養指導とPES報告の立ち位置です。アメリカでは増大する医療費削減への対策として、患者本人が生活習慣の見直しに取り組める栄養指導への期待が非常に高く、ほとんどの医師が管理栄養士と会うことを強く勧めます。断った場合は「3か月自力で行ってできなかったら管理栄養士と会うこと」と約束もするそうです。
さらに、外来栄養指導はNCPに基づき介入が進められ、PESをきちんと表記することが給付基準となっている民間医療保険会社もあるそうです。報告書は定期的にチェックされ、書き方が不十分でPESが書けていないと、保険診療が減算になる場合もあるとのこと。それだけ、PES報告の書き方が厳格に重要視されているのです。
さらに、外来栄養指導はNCPに基づき介入が進められ、PESをきちんと表記することが給付基準となっている民間医療保険会社もあるそうです。報告書は定期的にチェックされ、書き方が不十分でPESが書けていないと、保険診療が減算になる場合もあるとのこと。それだけ、PES報告の書き方が厳格に重要視されているのです。
3-2. 日本の外来指導にフィットする「PES報告」の学び方
今回のセッションを通じて、PESを3行に並べて書いてもよいのだということや、アメリカの外来栄養指導のことなど興味深いお話をたくさん伺うことができました。
「栄養ケアプロセス」をより日本の外来栄養指導にフィットさせていけるよう、美好さんから定期的にレクチャー&コンサルを受けておりますので、良かったら次の記事もご覧ください。
「栄養ケアプロセス」をより日本の外来栄養指導にフィットさせていけるよう、美好さんから定期的にレクチャー&コンサルを受けておりますので、良かったら次の記事もご覧ください。
4.お知らせ
弊社では「栄養ケアプロセス」をしっかり実務に活かすためのセミナーを設けております。
『栄養ケアプロセス』を栄養相談で使いこなすための「栄養相談のマスター基礎講座」
PES報告がメインとなるのは「講座2」ですが、基礎から体系立てて学んでいただくことが栄養ケアプロセスを実務で使いこなすには最も効率的です!
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