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栄養相談未経験の管理栄養士が特定保健指導を実施するまでの勉強方法をご紹介します!

栄養相談が未経験の専業主婦からフリーランス管理栄養士になった私が、栄養相談の手法をどのように身につけていったのかをご紹介します。初めは、管理栄養士の資格はただ持っているだけ、本当に何もわからない状況でした。自身の事を書くのは非常にお恥ずかしいですが、“知識ゼロ”の状態から、栄養相談の仕事を始められるようになるまでの4カ月間で、どのように勉強していったか、その道のりをお伝えします。これから自らの一歩を踏み出そうとしている方に少しでもご参考にしていただけたら幸いです!

1.栄養相談の方法をどのように勉強したのか?
  オススメの書籍と有効なセミナーのご紹介

まず、管理栄養士として勉強し直さなければと思い、最初に購入したのは『日本人の食事摂取基準2020年版』(第一出版)です。勉強を進めて行くうちに“栄養相談には『栄養ケアプロセス』が欠かせない!”ということに気付き、次に購入したのが『改訂新版 栄養管理プロセス』(第一出版)です。しかし、読んだだけでは身につかず、そもそもこれらをどのように自分のものとすれば良いかも分かりませんでした。

そこで、これらの書籍を読むのと同時に、管理栄養士向けの研修を探して“スキルアップセミナー”に参加しました。もちろん有料ですが、独学でゼロから勉強するより遥かに効率が良いです。専業主婦が勉強にお金をかけることにハードルを感じる方もいるかもしれませんが、セミナーへの参加は、時間を有効使用し、より良い業務が実施できるようになるためには非常にオススメです。

(1)栄養相談の手法を勉強する際に参考にした書籍
・『日本人の食事摂取基準 2020年度版』 伊藤 貞嘉 /佐々木 敏 監修(第一出版)
・『改訂新版 栄養管理プロセス』 木戸 康博・中村 丁次 他 著(第一出版)
・『ライフスタイル改善の成果を導くエンパワーメントアプローチ ~メタボリック症候群と
 糖尿病の事例をもとに~』 安達美佐・山岡和枝・渡辺満利子 他 著(朝倉書店)


(2)生活習慣病の概要を勉強する際に参考にした書籍
 『まるごとわかる! 生活習慣病』坂根直樹 著(南山堂)
  看護師向けの書籍ですが、わかりやすく概要を掴むことができるため、ビギナーにオススメです。
 
(3)料理のエネルギー量や油の使用量などを勉強する際に参考にした書籍
・『食事コーディネートのための主食・主菜・副菜料理成分表 第4版』
  針谷 順子・足立 己幸 著 (群羊社)
・『外食・コンビニ・惣菜のカロリーガイド』 香川 明夫 監修(女子栄養大学出版部)

(4)参加したセミナー
『プライベートセミナー 慢性期の栄養相談スキルアップコース』 栄養サポートネットワーク合同会社
『栄養ケアプロセス』に基づき、国際的にも生活習慣改善プログラムとしての効果があることが証明されている生活習慣改善プログラム『SILE』(サイル)を習得するセミナーです。栄養相談を実施するにあたり、考え方の基礎となっていて、今でも資料を何度も見返しています。

2.栄養相談方法を勉強する上で、難しかった点とその解決策について

【その1】 
「対象者の適量(エネルギー量、食事構成)を思い描くことができない…。」 

みなさんは「50歳、男性、身体活動レベル ふつう(Ⅱ)」と言われたら、その方の適量を実際の食事構成を示してお伝えすることはできますか? 正直、初めの私は全く出来ませんでした。
『栄養ケアプロセス』の行程では、食事に関するアセスメントは対象者の適量と実際の食事内容を比較することで問題点を抽出することになります。そのため、比較する基準である対象者の食事の適量すらわからなかった私は最初から大苦戦していました。

~解決策〜 
①年代、性別の推定エネルギー必要量ごとに自分で食事構成を考えてみる。
 実際に食事摂取基準に合致する献立を立てて、栄養価計算をしてみました。
②セミナーに参加する。推定エネルギー必要量から食事構成を設計するための考え方を学びましたが、
 独学では限界がありセミナー参加が私には必須でした。そもそもセミナーに出て初めてこの考え方を
 知りました。

【その2】 
「たくさんの問題点の中から優先順位をつけることができない…」 

~解決策〜
検査値と実際の食生活との関連を勉強する。
ここで最も活躍したのが『日本人の食事摂取基準』です。
『日本人の食事摂取基準』は、エビデンスレベルの高い情報が満載で、特に「総論」と「生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連」は必読です!

【その3】 
「問題点がわかっても、具体的な行動目標が立てられない…。」 

例えば、「脂質の摂取量過剰」が解決しなければならない一番の問題点だったとします。では、実際にどのような行動計画を立てれば、脂質の過剰摂取が解決するのか、その具体的な行動目標を立てることが出来ませんでした。

~解決策〜
①『マンダラート』を作る。
『マンダラート』とは、9×9のマス目を使い、中心に大目標、その周りの8マスに連想される中目標を記載し、次に中目標を達成するための小目標を、中目標の周りの8マスに記載していくフレームワークです。野球選手の大谷翔平選手がやっていたことで有名になった手法です。例えば、真ん中の大目標に「脂質の摂取量過剰」と書いたマンダラートを作成し、中目標には「揚げ物は控える」、小目標には「揚げ物は週に2回までにする」などと考え、具体例の引き出しを増やしていきました。

②問題点において「何が」「いつ」「どのくらい多いのか」を明確にする。
「いつ」、「(適量に比べて)どのくらい多いのか」を確認することを意識し、その把握の仕方が習慣になると自然に「何を」「いつ」「どのくらいにする」という行動目標を立てることにつながりました。

③コンビニやスーパーなどで弁当や総菜の商品情報を確認する。
対象者の方々の利用頻度が高い店舗に行き、どんな商品があり、どのような提案ができるのか、実際に行ってそこでできる選択肢をより具体的にイメージして考える。

④対象者ご本人に聞く。
これは後からできるようになったことですが、「脂質を減らすためにどのような目標にしましょうか?」と直接質問します。ただし、回答された目標内容で、本当に脂質を減らせるのか、その目標の「実行頻度」や「一回の量」を確認する作業は必須ですが、ご本人が自分で考えるその行程こそが、実行率を上げるポイントだと実感しました。

3.『栄養ケアプロセス』を栄養相談で使うとどんなメリットがあるのか

『栄養ケアプロセス』は、質の高い栄養管理の標準化を目的としています。つまり、この手法を活用することで、栄養相談で行うプロセスがその対象者にも一定の手順で実施でき、結果につながる行目標かどうかを論理的に考えながら栄養相談を進めることができるようになります。このメリットが、実際の現場(特定保健指導)ではどのような点に活きているのか、具体例をご紹介します。

 ① 問題となる行動の根拠を対象者に説明できるため、対象者の「納得」を得られやすい。
 ② 問題点を絞る行程があることにより、行動目標も2つ前後に絞ることができる。
 ③ 減量や腹囲の削減に効果的だと確信を持って行動目標を決定できる。
 ④ その結果、面談時間の時短につながる。普段の面談はほぼ全員、30分位で終了できます。
 ⑤ 自分の栄養相談で良い結果が得られ、「やりがい」を感じられる!!

4.まとめ

栄養相談に欠かせない『栄養ケアプロセス』を勉強し、実践できるようになることで、自分が管理栄養士であることに自信を持つことが出来るようになりました。とは言っても私は始めたばかりです。より、対象者の行動変容を高められるよう頑張ってきます。この内容が、これから「栄養相談業務に挑戦したい!」と、お考えの方に少しでも役に立てばうれしい限りです。

〇オススメのセミナー
栄養相談方法を勉強する上で欠かせない『栄養ケアプロセス』を短時間で習得できる、とてもおすすめのセミナーです。
『栄養相談のマスター基礎講座』(栄養サポートネットワーク合同会社)

基礎講座参加者の声:
食事摂取基準や各疾患のガイドラインなど参考書を用いて、この表や記載している根拠などを説明していただき、初めて記載している事について理解できた場面がいくつもありました!演習とともに教えていただく事で、理解し相手に伝えることもできるようになれると思いました。

『栄養相談のマスター基礎講座』参加者の声


◇ライター情報◇
圍 華代子
大学卒業後、管理栄養士として一般企業に就職。家族の海外転勤に伴い退職し、帰国後、開業管理栄養士として自立。現在、2社の特定保健指導事業に従事している。
【資格】管理栄養士

『栄養相談のマスター基礎講座』参加者の声